燃焼性の試験
燃焼による危険性は爆発による危険性と比較すると災害規模は小さいと言えます。しかしながら、着火し易いか否かは取扱時の注意に、着火した時にそれが激しいか否かは重大な事故に発展するかどうかということで非常に重要で、防火壁や保安距離など周囲に影響を及ぼさない対策が必要であるかどうかの判断基準になります。
BAM着火試験
様々な着火源に対しての着火の危険性を評価する試験で、BAM(ドイツ連邦材料試験所)で開発された試験が有名です。セリウム-鉄火花、赤熱鉄棒、導火線及び小ガス炎の4種類の着火源で着火するか否かを試験します。順次条件が厳しくなっており、最後の小ガス炎でも着火しないような物質は、着火性については安全といえます。1回の試料量も3mlと少量であるため、スクリーニング試験としても行えます。
クルップ式発火点試験
固体物質や粉体物質に対して行われる試験で、火薬類の試験方法として古くから行われている試験です。加熱された鉄製のブロック(坩堝(るつぼ))に少量の試料を投入し、投入から発火するまでの時間を計測します。もともとが火薬類の試験なので、一般の有機物の場合は単に赤熱するだけのものが多く、また試料の形状によって結果が変わってくるので注意が必要です。有機物の場合は気化・蒸発してしまう場合が多く、このような場合は下記に示すASTM式が有効です。
ASTM式発火点試験
ASTM E659に規定される試験で、加熱された500mlの丸底フラスコに試料を投入し、発火するか否かを観察します。固体の有機物であっても、溶融して丸底フラスコ内に気化した状態で溜まるため、発火温度を測定することができます。試料量によって最低発火温度が変わってくるので、通常はその中でも一番低い発火温度をその物質の発火温度としています。
赤熱鉄皿試験
燃焼時の激しさを評価する試験法で、BAM(ドイツ連邦材料試験所)で開発された試験です。約700℃に熱した直径120mmの半球状の鉄皿に5gの試料を投入し、着火するか否か、着火した場合は燃焼状況を観察します。クルップ式発火点試験の大型版とも言えますが、試料量が多いため有機物でも着火が見られます。定性的な評価ではありますが、スクリーニング試験としても有用です。
浮遊状態・堆積状態の発火温度測定(VDI2263)
前者は粉体が加熱された空間内に分散された際の、後者は堆積状態で加熱された際の発火・発煙の有無を評価する試験で、ドイツ規格のVDI2263に準じた方法で試験を行います。
各試験の必要試料量はこちらをご確認ください。